2012年12月10日

神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフ デュオリサイタル in 八ヶ岳

最初に断っておきますが私は合唱歴36年。
特にルネサンス時代のアカペラの宗教曲やマドリガル
その流れでバロック時代のバッハの宗教曲を演奏するのは大好きです。

ということで、バイオリンについては全くの門外漢。
今回演奏される、ベートーヴェンのバイオリン・ソナタ7.8.9番が
どんな曲なのか事前の知識なしにこの演奏会を聞きました。
ただし、9番のクロイツェル・ソナタが有名であることだけは知ってましたが。

2007年のチャイコフスキーコンクールのバイオリン部門で
1位を取られた神尾真由子さんの演奏は、
コンクール直後のTVドキュメンタリーで聴いたことがあるだけ。
その時の印象は、日本人でこんな迫力ある音を出す人がいるんだってこと。

八ヶ岳高原ロッジは我が家の贔屓のホテル。
マイHPで紹介したことも・・・(ここから見れます。)
いつか、あの八ヶ岳高原音楽堂で演奏会を聴きたいと思っていたところ
食事と宿泊付きで、神尾さんのバイオリンが聞けるとがわかり
すぐに申し込みました。

さて、演奏会当日・・2012年12月8日

数日前から雪が降り出しました。
当日も、外はこんな具合です。

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午後4時で外気温はマイナス4℃
会場の中はこんな感じ

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客席は170弱だったと思います。
こんなに天気が悪く、中央道の笹子トンネル事故の後なのに
ほとんど埋まっていました。

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ピアノ調律中。後ろは一面の雪景色。
演奏の間、動物が出て来ないかと楽しみしてましたが・・・。

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反対側の窓に映りこんだステージです。(画像が悪くてすいません)
実際は、もっと薄暗い中に演奏している神尾さんが写って幻想的でした。

さて、今回の演奏曲目はベートーヴェンのバイオリン・ソナタ 7、8、9番

1曲目は7番

神尾さんは薄いアプリコット色で肩と背中が大きく開いた
マーメイドラインのシフォンのイブニングドレス。
左腰のあたりにスワロフスキーのような光る石が沢山散りばめられていてキレイ!
髪は夜会巻き風なアップで、思ったよりも華奢な体つき。
5年前よりも女性らしさが増した感じ。

最初はヴァイオリンの音がまだ鳴らない感じがしましたが
曲が進むにつれて、会場に響くようになりました。
コンクールから5年経ち、低音が鳴るだけでなく、
繊細な音色も加わって、多彩な音色を出す人だなという印象。
見た目だけではなく 音楽的にも成長なさったんですね。

が、私の聞いている位置が悪いのか
どうもピアノの音がバイオリンに比べて大きく聞こえて
彼女の音楽を邪魔しているような印象がしたのです。
ピアニストはイイ表情をしているのに、
出てくる音がその表情とマッチしていない。
どこのピアノ? と思ったら、ハーフのスタインウエイでした。(汗)

続いて2曲目は8番。

あらまあ、今度はちゃんとピアノのディナーミックが
バイオリンに寄り添ったそれに変化。
もしかしたら、1曲目のあとで、彼女に言われたのかもね。

さんざんピアニストの悪口を言ってるみたいですが
二人の呼吸は、そりゃもう、とても合っていたんですよ。
私も少人数のアンサンブルで歌うこともあるので
テンポや間やディナーミックをあれだけ自然な感じで合わせることが、
どんなに難しいことか少しはわかりますもの。
ただ、ピアニストが右足で拍子を刻んでいるようには見えましたが。(苦笑)

ところで、7番も8番も、私はテンポのゆったりとした2楽章が好き。
8番なんてベートーヴェンが森の中を散歩している様子が見えた気が・・。
時に、女性が甲高い声で叫んでるように聞こえたり
鳥の囀り、猫の鳴き声・・いろんな音が聞こえてきて楽しかったです。

さて、20分の休憩のあと、いよいよ9番「クロイツェル・ソナタ」です。

1楽章の冒頭のバイオリン・ソロ・・・バッハのシャコンヌか?
続いて、ピアノ・ソロ・・うーーん、やっぱり平均律の音だ。
バイオリンの音律とちょっと違う感じ。
なんだか、7番、8番とは趣が違う音楽で、音が深く激しくなったぞ
・・・と思ったら、1楽章の半分くらい経った頃でしょうか
(半分というのは後で感じた)
いきなり、神尾さんが演奏を中断。

どうやら、弦が緩んだようです。(こんなことってあるんですね。生だぁ。)
客席に「すいません」と断わって、弦を巻きなおし、チューニング。
すさまじさで切れてしまったのか、弓の糸を沢山ちぎり捨てる神尾さん。
これも後から思えば、そうしながら気持ちを落ち着け、
再度集中し直してたのかもしれません。

どこから始めるのかなと思っていたら、
あら、もう一度最初からやり直すのね。

ところが、この2回目、ピアノの出だしが1回目と違った。
なんだ、この集中力のある音は!?
平均律の違和感も感じられなかったんです。

それからは、もう二人の集中力と気迫が凄くて
神尾さんの顔は、まるで角度によって表情を変える能面のように見え
曲の持つ力なのか鬼気迫る演奏に、心が振るえ、途中で涙が出るほど。
1楽章が終わったところで、私は小さく拍手をしていました。
なるほど、こりゃあ、途中から演奏するわけにはいかないわ。

1楽章に比べて、2楽章、3楽章は・・・
うん、ベートーヴェンねって曲でした。(意味不明?苦笑)

それにしても、なんだこの「クロイツェル・ソナタ」の1楽章は!
この曲にトルストイが触発されたのもわかる気がします。
ベートーヴェンにいったい何が起こったの?
彼はどんな啓示を受けたの?

途中、アクシデントはありましたが、1楽章を1.5倍聴けて得した気分。
集中力が違うせいなのか、ピアニストの音色にも変化が見られ、
7番と9番では違う人が弾いてるみたい。
心の中で「やればできるじゃん!」と呟いてました。
(プロに向かってすいません。)

今回は、神尾さんの多彩な音色を聞けて本当に幸せでした。
またフレージングも美しく、
あんなふうに歌えたらなあって思うほど。
(声は途中でブレスしないと、あんなに長く美しく歌えませんもの。)
ますます彼女の将来が楽しみです。

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2010年01月10日

ウィーンフィルにコンミス?!

夜中に何気なくNHKのBSをつけたら
2009年の「ルツェルン音楽祭」と同じく2009年9月の
ウィーンフィル・東京サントリーホールでの演奏会を放送してました。

ルツェルンのアバドのマーラー4番を聞いたあとで
TVをつけっ放しにしたままお風呂に入りあがってきたら
・・・・・・・・・
ウィーンフィルがバルトーク「管弦楽のための協奏曲」を演奏していたのですが
「アレ? あの後姿・・・コンマスが若いオニイチャン?」
不思議に思ってしばらく見てたら、
映像が第一ヴァイオリンを正面から映し出して・・
「ウッソーー!! なんと可愛い女性ジャン!!」

ハイ、あんまり驚いたので、すぐにネットで調べました。
あの長く女性禁制だったウィーンフィルに女性のコンサートマスター
(モトイ!、女性ですからコンサートミストレスですね)
が誕生していたんですよ。

その名は<アルベーナ・ダナイローヴァ>
ブルガリア出身の34歳(35歳?)のようです。(若〜い! 可愛い!)
今はまだ2年間の試用期間中なのかもしれませんが、
それにしても<あの>ウィーンフィルにコンミスが・・・
ですからねぇ、今後の彼女の活躍とVPOが紡ぎだす音楽に注目です!
(バルトークは今回、ちゃんと聞いてませんでした。。うっ。)

ちなみに、昨年のニューイヤーコンサートにも登場していて
このときはキュッヘルの隣にいたようです。
映像はこちら
(1分6秒くらいから映りだし、13秒くらいで正面に。)
このときはまだ黒髪ですが
サントリーホールでの演奏会では明るく染めた髪色に
洗練されたカットで、男装の麗人、はたまた若いイケメン風。
うーーん、ファンが増えそうな気がします。


posted by み〜 at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏会評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月01日

上原ひろみライブin多治見

昨日、なんと岐阜県多治見市で
上原ひろみさんのジャパンツアーが開催されるということで
家人と一緒に初めて生ジャズライブを聞きに行ってきました。

詳細は アトでアップしますが
もうすごかったですぅ。
外は冬の木枯らしが吹いていたのですが
ホールは熱く盛り上がり、
最後は聴衆全員が立ち上がって手拍子ノリノリ。
この歳になると普段はコッテリ肉を食べたいとは思わないのですが
夕べは体力使って、汗もかいて、夜10時だというのに
「お腹空いた〜!」「ステーキ食べた〜い!」と叫んでおりました。

熱い熱い演奏会だったのですが
アンコールで弾いてくれた「グリーンティーファーム」では涙が出そうに。
演奏中、私の頭の中では
ずーーっと「茶摘み」「ふるさと」が聞こえてたんですよ。

【追記】
コメント欄に貼っておきましたが
上原さんの公式サイト の
ブログ にも、早速、多治見のライブのことが書いてありますヨ。


えっと〜、どこまで書けるか・・・
少しずつアップしたり直したりします。
たぶん。

HIROMI'S SONICBLOOM JAPAN TOUR 2008 
“BEYOND STANDARD”  in 多治見


10年以上前、合唱コンクールに参加していた頃
県大会でよくそのステージに乗っていた
岐阜県多治見市文化会館 大ホールで
上原ひろみさんのライブがあると知ったのは
MIWOの演奏会広告が掲載された朝日新聞の同じ紙面だった。

以前から彼女のCDは持っていて、
基本的なピアノテクニック、ぷらす、リズムとかテンポとか旋律とか、
日本人離れしたジャズセンスに驚いていたのだが
特にチック・コリアとのCD「デュエット」は
なんじゃこれ〜〜!? アンタら何者!? 
と叫んでしまったくらい凄くて
<天才×天才>のスパークリングがどんなことになるのか
私もこのライブ演奏、生で聴いてみたかったぞぉ!!
と思っていたところに、ご近所でのライブがあると知って
家人の誘いに、二つ返事でチケットを購入した。

さて、演奏会当日。
駐車場が少ない会館なので、早めに現地入り。
開演1時間前に開場になったのだが、ホールではまだ音響調整が続いていて
実際に中に入れたのは30分前。

クラシック系の演奏会には行ったことはあっても
ポップスやロック、それに今日のようなジャズのライブも未体験。
どんな客層なんだろうと辺りを見回してみると
服装はまあ地味系で、女性よりは男性が多い。
年齢的には若い人から熟年層まで、中には60代以上のオジサマもチラホラ。
それから、思いっきり若い小学生の子供連れも何組かいた。
奥さんがMIWOの団員で、夫婦して上原ひろみファンのI家も
ピアノを弾く中学生の長男、新体操をやってる小学生の長女とともに
一家4人で聴きに来ていた。(スゴーーイ!)

ホールへ入ると・・・煙〜い!(ゴホン、ゴホン。。)
照明効果のためにスモークが立ちこめていたのだ。
私、スモーク苦手なの。。。だって息苦しいんだもん。
でも、演奏が始まると、
「この照明のタメなら致し方なし。グ〜!な照明だぜ。」
と、コロッと主義主張を変える。

(あっ、そういえば、MIWOの24回演奏会(新実徳英作品集)でも
 照明演出のため後半スモークを焚いたんでした。
 その節はみなさま、ご迷惑をおかけいたしました。_(_^_)_ )

で、私達の席は・・・・「し列の49番50番」
...って、前から12列目だけど、舞台に向かって一番右端じゃん
...舞台下手位置のピアノを弾くひろみちゃんが見えないカモ

などという心配は、本番が始まったら全くの杞憂に終わった。
確かにピアノを弾く手元は見えなかったけれど、
ひろみちゃん、こっちを向いて弾いてくれたし
3列前の通路から座席が傾斜してるから、
双眼鏡なしでバッチリ表情も口元もわかった!

家人「パンフレット買ってきたけど、今日演奏する曲目書いてないね。」
私「それは、CD<BEYONDO STANDARD>の曲目だから書く必要ないんじゃない?」
家人「こういう演奏会初めてだけど、休憩ってあるのかなぁ?」
私「あるかもね。いや、もしかしたらドヒャーーッ!って一気かもよ。」
家人「ところで何時頃に終わるの?」
私「う〜〜ん、それは私達が彼女をどれくらい乗せるかによるんじゃない。」

ハイ、なんたってジャズライブ初体験ですから、、、
陳腐な質疑応答、ご容赦くだしゃりませ。ちなみに、

・休憩、中間部で10分間あった。
・午後6時過ぎに始まった演奏会、終演後、外に出たら8時45分だった。
・演奏曲目はたぶん下記のとおり・・・かな?
  1. Intro: softly as in a morning sunrise
  2. Softly as in a morning sunrise
  3. Clair de lune
  4. Caravan
  5. Ue wo muite aruko
  6. My favorite things
  7. Led boots
  8. XYG
  9. I've got rhythm

(続きです)

さて、会場のスピーカーからは「上を向いて歩こう」や
サウンド・オブ・ミュージックの「マイ・フェイバリット・シングズ」の
オリジナル曲の歌声が流れていたのだが
定刻より5〜10分遅れでその歌声もやみ
ステージの照明も客電も落ちて真っ暗に・・
いよいよだぞぉ〜! ドキドキ...
と思ってたらステージ上のピアノにスポットライトが・・・
ライトに浮かび上がるように、
既にひろみちゃんがピアノの前に座っているではないですか!

壊れたラジオのような雑音混じりの音でピアノの音が流れ出した
と思ったら、ベース、ドラム、ギターも加わって
そこから一気に「Softly as in a morning sunrise」 へ。
もう最初の曲から、ひろみちゃんはすごいテンションでピアノを・・
椅子から飛び上がるように低音をバーーン!(スゲ〜〜ッ!!)

1曲目が終わっただけで、会場はヤンヤヤンヤの拍手喝采!
私の斜め2列後くらいにいた熱狂的ファンからは「ひろみ〜!!」コールも。
ひろみちゃんのMCでメンバー(ベース:トニー・グレイ、
ドラム:マーティン・バリホラ、ギター:ジョン・シャノン)の紹介があり、
今回のツアーについてのコメントもあった。
その後、2曲続けて演奏。

TVで見てたジャズライブみたく
メンバーのひとりがスッゲ〜カッチョエエ演奏すると
「イエ〜ッ!」と叫びながら演奏中でも構わずみんな拍手・・するのよ。
もちろん、私も叫びながら拍手したワサ。

で、帰ってからCDを聞き直したんだけど
ライブの演奏って、基本的な部分は押さえてるんだろうけど
テンションやアレンジがCDとは全然違う。
特に「Caravan」だったと思うけど
ひろみちゃんとドラムだけのセッションなんて、
まるで二人で会話してるみたいだった。
微妙な間合いとか、掛け合いとか、音色の変化とか、まさに「阿吽の呼吸」
ドラムがあんなにいろんな音色を出すのにも驚いてしまった。

前半の最後、またまたひろみちゃんのピアノが凄くって
壮大なカデンツァを弾いてるみたいだった。
あれだけ弾けるのなら、是非リストの「ラ・カンパネラ」を
ジャズ風にアレンジして弾いてくれないだろうか・・
と隣の家人に話しかけながら、拍手をおくり、休憩へ。

(つづく・・・)
posted by み〜 at 06:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 演奏会評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月01日

オランダ・バッハ協会「ヨハネ受難曲」

1週間前(1月24日)になりますが、
愛知県の長久手町文化の家 森のホール
下記の演奏会を聴いてきました。

オランダ・バッハ協会合唱団&管弦楽団バッハ「ヨハネ受難曲」
ピーター・ダークセンによる1724年初演ヴァージョン
ヨス・ファン・フェルトホーヴェン指揮


ゲルト・テュルク    (テノール/エヴァンゲリスト)
ステファン・マクラウド (バス・イエス)
マリア・ケオハナ    (ソプラノ)
マシュー・ホワイト   (カウンターテナー)
アンドルー・トータス  (テノール)
ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ(バス/ピラト、ペトロ)


前々日の 兵庫県立芸術文化センター 大ホール(2141席)
前日の 厚木市文化会館大ホール(1412席)
に続く演奏会で、きっとお疲れのことだろうと思い、
あまり期待してはおりませんでした・・・が・・・

初めて訪れた「長久手町文化の家 森のホール」は音楽専用ホールではなく
びわ湖ホールの大ホールを正方形にして
三分の一に縮小したような雰囲気の多目的ホール。
(どちらかというとクラシカルな芝居小屋風?)
ステージ上は横にも天井にも専用の反響板がなく抜けたまま。
実際、合唱団が歌いだしたとたん、
「アチャー、こりゃあデッドだわっ。。気の毒。。。」と思ってしまいました。

しかし、そう思ったのは第一部だけで、
第二部からは声が鳴り出したのはさすがプロ!?
それに合唱とオケの編成数からすると、819席のこのホールは
演奏者と聴衆が近くて音楽や表現が伝わりやすかったのではないかと思います。

その合唱とオケの編成ですが、演奏前の指揮者のレクチャーによると
初演(第1稿)の記録はほとんど残っていないのだが、
バッハの時代、すぐれた演奏者は少なかっただろうとのことで
今日一般的に演奏される第4稿版や、最近多い第2稿版と違って
フルート(トラベルソ)とファゴットを欠いた
各パート1名ずつの極端に少ない編成にしたものであるとのこと。
したがって合唱やオケではなくアンサンブルだと思って欲しいとのことでした。
(今回の初演バージョンは、どうやら編成数が少ないだけで、
 曲目は第4稿版に近いものでした。)

ステージの並びもまたユニーク。
1列目(ステージ・ベタ)、向かって左からヴァイオリン2本、ヴィオラ1本、ソプラノ・ソロ、バス・ソロ(ピラト&ペテロ)、カウンターテナー・ソロ、テナー・ソロ、ガンバ1本、テオルボ1本、チェンバロ1台
2列目(ひな壇)、向かって右からオーボエ2本、テナー・エヴァンゲリスト、バス・ソロ(イエス)、チェロ、オルガン、コントラバス、合唱3名(テナ1名、カウンター・テナー1名、ソプラノ1名)

基本的に合唱の部分は1列目の真ん中にいるソリスト4名も歌うので
1パート2名ずつになるのですが、
声がまだ出ていなかったせいか、同じパートの人が離れた場所にいて
さすがに1曲目の“Herr”は緻密さに欠けた感がありました。
が、それも曲が進むにつれ、特に第二部からはバランスもよくなり
ホールの特性をつかんで声を響かせ、表現されていました。

では、特に印象に残った点を・・・

バッハの「ヨハネ受難曲」は数年前にBCJの演奏を名古屋で聴いたのですが
この時のエヴァンゲリストもテュルクさんでした。
エヴァンゲリストの語り(レチタティーボ)が多い受難曲をちっとも飽きさせないで、
本当に語るように歌いかける歌唱に感嘆した記憶があります。
今回、見た目(声も少し?)がお年をめされた感は否めませんでしたが
その歌唱力はさらに年輪を重ねられた味わいがあり
特に今回、ステージに近かったので、
「私に向かって語りかけてます?」って思うほど、視線を感じて(^◇^;)
配られた歌詞対訳を読み、頷きながら聴いておりました。

基本的にエヴァンゲリストは出番が多いので合唱部分は歌わないのですが、
テュルクさん、最初の“Herr”と最後の2曲“Ruht wohl”と“Ach Herr,”は
歌ってらっしゃいましたね。
特に最後の2曲は楽譜を胸にかかえ(つまり暗譜)、
まるで牧師さんのように頭を垂れて歌ってらっしゃる姿にググっときて
曲がイイというのもあるのですが、思わずウルウルしてしまいましたよ。
テュルクさ〜〜ん、最高!!
(演奏会後のサイン会、指揮者だけじゃなくてテュルクさんもだったら
 私も参加したかも...フフフ)

それから、イエスを歌ったバスのマクラウドさんの
深く甘い声にもやられちまいましたぁ。(うっとり・・ww)
できれば彼の声でバスのアリア“Eilt”のメリスマを聴きたかったのですが…
イエスを歌ってる人があの歌詞を歌うのはやっぱ無理がありますよね。残念。
そそ、マクラウドさんはBCJや有名な海外古楽合唱団でも歌ってらっしゃるので、
名前に覚えがあるような気がするんです。
もしかしてCDで見たのかしらね。

次はソプラノ・ソロのアリア…
トラヴェルソではなくヴァイオリンとのアンサンブルだったのでちょっと残念。
それにしてもすごーーくイネガルしてましたよね、ソプラノもヴァイオリンも。
イネガルしてるぶんだけ後の部分が抜けるのですが、
ホールが響かないので声が響く前に消えてしまうのが残念でした。
立ち位置的にも問題があったようで、
あのホールは2列目のひな壇で歌ったほうがよく響き、客席に届いていたようです。

立ち位置で損をしていたと思われるのはカウンター・テナーのソロも同じ。
(このマシュー・ホワイトさんの名前もどこかで見た覚えが...ww)
第一部は頑張り過ぎちゃったみたいで
低音から高音への跳躍が力まかせの感があり
合唱のカウンター・テナーのお兄さんとも合っていなかったのが残念。
しかし、膝の曲げ具合というか腰の落とし具合が特徴的な歌い方をする方で
ついつい目がそちらのほうへ・・・
あっ、膝を柔らかくして歌うのは理にかなっているんですよ、ホントはね、ハイ。
ホワイトさんも第二部ではコントロールの効いた歌唱で良かったと思います。

で、残念だったのはテナー・ソロのトータスお兄さんでした。
立ち位置が前すぎて響かなかったのもあるのでしょうが
水が蒸発しちゃったスポンジのような声だったのは不調のせい?
曲間や前奏部分で、それこそ牧師さんのように頭を垂れまっすぐに立ち
曲想に入り込んでる姿はとても真摯で好感を持ったのですが・・・
またいつか聴く機会に期待しております。ハイ。

ステージに出てきた時から異彩(色物?^_^;)を放っていたのは
バス・ソロ(ピラト、ペテロ)で
今回ピンチヒッターで来日したフリードリヒおじさんでした。
‘ワンレン耳かけボブ’ヘアは・・どこかで見たことあるような…
と私の友人達はみなそう思っていたそうです。
最初は頑張り過ぎちゃった感もありましたが第二部からは本領発揮?
特にピラトがイエスに向かって「答えないのか」と問いただす箇所を
pで息まぜ声で語るように歌った時にハッとしました。
最後のバスのアリア“Mein teurer Heiland”でも
<しかし、あなたはそのこうべを垂れ
 無言のうちに「そうだ」と言っておられるのですね>
の箇所でも同じようにしっとりと歌われたので
「おお、お主、役者やのぉ!やるじゃん!」と感心しきりでございました。

あっ、肝心の合唱の部分がまだでしたね。
第一部は前述したように、声が鳴ってない感じでしたが
第二部からはそれも解消され、
特に早いパッセージの曲がイキイキと演奏されていて私好み。
ただし、バスのアリア“Eilt”は早すぎて、
私の大好きな合唱の♪wohin?♪の和音が鳴る前に消えてしまうのは残念でした。
特にフェルマータを二度も無くして尻切れトンボ状態に...(>_<)
ただし、それが最後のフェルマータでの美しい響きを際立たせるためだったのなら
一応成功したということでしょうかね。

演奏方法の面からみると
たとえば群衆がペテロに向かって「お前じゃないのか」と言う12bや
「ユダヤ人の王様ばんざい!」と歌う21bなどは
最後に向かってアッチェルランドをかけたり
1曲目の“Herr”の中間部♪Zeig♪や
最後から2曲目の“Ruht wohl”の中間部♪Das Grab♪では
4人のソロのアンサンブルにしたり
また、繰り返しのあるコラールでは楽器を1番は通奏低音のみ
2番は全員でという編成にしたり、その逆のパターンにしたり
と随所に工夫が施されて、それぞれ効果をあげていました。
(通奏低音のみのほうが、確かに歌の響きがよく聞こえますね。)

全体的に音楽劇の要素を際立たせた「受難曲」の演奏だったと思います。(私は好き)
いかんせん、聴衆の歌詞対訳冊子をめくる音がパラパラとうるさかったのですが
それだけ聴衆も歌詞の内容を把握して聴こうとしていたということで
演奏者と聴衆が一体になれた、なかなか良い演奏会でした。
それは演奏後、一度はけてしまった演奏者を
全員呼び戻してしまった拍手にも表れていたと思います。

余談(その1)
合唱を受け持っていたカウンター・テナーのお兄さん
一人だけ楽譜を持っていなかったんです。
「すごーーい!暗譜してるぅ!」ってみんなで感心してたら
第二部では眼鏡をかけて登場し(第一部もかけてた?)
早いパッセージの曲目でしきりに隣の人の楽譜を盗み見してるじゃないですかぁ。
隣のテナーやソプラノの人も楽譜を横にずらして見やすくしてあげてるし・・
って、それって単に楽譜を忘れてきたってことかい!?(爆)
彼の名誉のため(?)に付け加えると、コラールはほとんど見ずに歌ってました。

余談(その2)
歌い手さんたちは全員ペットボトルの飲み物を椅子の下に・・
ホールは一応、飲食禁止なんですけどぉ。
他の海外の演奏者さんたちも飲み物を持ってステージに出てきますよね。
私達もやっちゃダメ?
だってね、ロ短調ミサ曲の時も
「Sanctus」で「ア」の口のまま歌ってるから喉がカラカラになって・・
次の「Osanna」のパートソロまでにどれだけ唾を飲み込んだからしれないのよ。

【追記】3/2
アレグロ・ミュージックのサイトにリンクしてあった
オランダバッハ協会の公式サイト 
あけるとマタイ受難曲の終曲が流れ出してメッチャ格好いい!!
それにフラッシュもセンスいいっすよね。
たぶん作れると思うけど、参考になりますぅ。
posted by み〜 at 23:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 演奏会評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月01日

スペシャルトーク

BCJの演奏会、とっても面白うございました。

後半はもちろん、バッハの曲目を演奏したのですが
前半は鈴木雅明氏によるスペシャルトーク「身体に効くバッハ」
(決してレクチャーではありません!とのこと)

聴衆である私達もその場で立ち上がり
後半に演奏する演奏者もステージにあがって
鈴木先生の指導で身体を使いながら
西野式呼吸法(こんにゃく体操に似てる?)を教えていただきました。
その呼吸法により気を掴み、自らも気を発しながら
楽器を弾いたり歌を歌うと良いとのこと。
(ここでもやっぱり「たんでん」が出てきた。)
鈴木先生、対談ではこれまであったけれど
聴衆の前でこんなトークをするのは初めてだったそうですよ。

ふふふ、やっぱりM団では
練習中にアルトがテナーに気を発してたんですよね。
今回の西野式呼吸法(こんにゃく体操?)で
ますます強力な気のつかみ方、発しかたを会得したので
テナーの方々、お覚悟召されよ!

そんなトークが1時間近くあり身体中がポカポカ。
後半のバッハの演奏も、またひと味違って聞こえたのでした。
posted by み〜 at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏会評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月28日

カプソン兄弟デュオ

本日午後、名古屋しらかわホールへ
「ルノー&ゴーティエ カプソン兄弟デュオ」コンサートに行ってきました。

いや〜、素晴らしかったですよぉ! 感動しましたぁ!
最後は私もスタンディング・オベーション!!

ちなみにプログラムは下記↓ネ。

ヴァイオリン:ルノー・カプソン(1976年生まれ)
チェロ:ゴーティエ・カプソン(1981年生まれ)

★J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調 BWV1008
  T プレリュード
  U アルマンド
  V クーラント
  W サラバンド
  X メヌエット1&2
  Y ジーグ

★ラヴェル ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
  T アレグロ  
  U トレヴィフ(非常にいきいきと) 
  V ラン(ゆるやかに) 
  W ヴィフ・アレク・アントラン(いききと、活気をもって)

★J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調 BWV1006
  T プレリュード
  U ルール
  V ロンド風ガヴォット
  W メヌエット1&2
  X ブーレー
  Y ジーグ

★コダーイ ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
  T アレグロ・セリオーソ:ノン・トロッポ
  U アダージョ
  V マエストーソ・エ・ラルガメンテ:マ・ノン・トロッポ・レント−プレスト

アンコール
  ★ヘンデル(ハルヴォルセン編曲) パッサカリア
  ★シュルホフ ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 より 
               ツィンガレスカ:アレグロ・ジョコーソ


午後3時開演で聴衆の入りは半分から三分の二くらいでしょうか。
私達は2階の前から2列目の真ん中で聴きました。

まず最初は弟のゴーティエによるバッハの無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調。
当初のプログラム第6番ニ長調からの変更でした。

昨年より伸びた髪、ノーネクタイで襟元をあけた白いワイシャツ、細身の黒いスーツ
もう彼が登場してきただけで私は興奮状態。(きゃ〜、格好いい!)
ステージ上にぽつんと置かれた椅子に座り、
黒光りする美しいチェロを抱いて弦に弓をあてたとたん、
アルトの深く艶やかな、それでいて物悲しい音色がステージに溢れ始めました。
ああ、なんてメランコリーなバッハなのでしょう。
私の目にはすでに涙が・・・・。

3曲目のクーラントでは一転して目にもとまらぬ指使いで
音楽が嵐のように駆け抜けていきます。
が、また4曲目のサラバンドでは淡々と瞑想的に・・・。

20代でこれほどの演奏ができること自体驚きであり、素晴らしいと思います。
が、私の思い過ごしかもしれませんが、このチェロは鳴りすぎるような気が。
もっとバロックチェロのような儚いけれど哲学的な響きのほうが個人的には好きかも。

次は、さあいよいよ兄弟デュオです。曲はラヴェル。
ヴァイオリンとチェロが鳴り始めたとたん、ビックリしてしまいました。
ソロの時とは違って、なんという音空間の広がりなのでしょう!!

二人の音楽の波と波が、あるときは同調する山となって、
またある時は少しずつずれて絡み合いながら
まるでクリムトの絵画のような煌びやかで豊かな色彩感をともなって
ステージ上で飛び交っているのが見えるかのよう。

「ラヴェルは天才だ...」隣で家人が呟いていました。

勿論、カプソン兄弟の演奏も水を得た魚のようにイキイキとしてます。
チェロのゴーティエも、なんとなく余所行きだったバッハとはうってかわって
バンバン鳴らす!鳴らす! 
楽器もそれに応えて「私の出番よ!」と嬉しそうな音色に聞こえてくるから不思議(笑)。

ヴァイオリンは私達がいつも聴いているものよりサイズが少し大きめなような気が…
って、気のせいだったのでしょうか?
だって高音が細くキーーンとした音、美しすぎて
私達の手の届かない世界に吸い込まれていくような音ではなく
太く柔らかめで包み込むような慈愛に満ちた音色だったです。
だからチェロの音色ともよく合うし、
実際、中音域より下だと高音のチェロの音色とそっくり。
二人の旋律の受け渡しやバランスも絶妙なので
「今、どっちの音なの?」と思ったこともしばしば。

おまけに、その絶妙なバランスと和声感覚で
二人が4声を鳴らすもんだからハモルのなんの! 
まるでオケのような厚みのある音にも聞こえるし
一方でpは、繊細なボウイングで鳴らすので、ぶつかった音まで綺麗!綺麗!
1曲目の最後、pでの和音の展開では
「うわぁ〜、ナニこの音、すごい! 美しすぎるぅ!」
と私は口がアングリ開いたまま・・・思わず胸の前で小さく拍手。

実はこの素晴らしいpの音色、一種類ではないのですよ。
1曲目のように細く小さく美しく響かせて会場に漂わせたかと思ったら、
3曲目の最後では儚く消え入るように沈んでいって...
私はラヴェルの合唱曲「3つのシャンソン」2曲目
もの悲しいソプラノソロを思い出してました。涙、涙、(T.T)

4曲目は、これまたラヴェルらしいコケティッシュな曲想。
この曲でもまたまた、若いフランス人らしい
アグレッシブでイキイキとした彼らの真骨頂を発揮していました。

歌詞があるわけではないのに、まるで歌を聴いているかのよう。
絵ではないのに豊かな色彩が見えるかのよう。
お互いの息づかいを感じあい
ある時は強い緊張感を持って、
またある時は溢れる情熱をほとばしらせながら音を彩なす兄弟。
音楽のミューズが今まさにそこに降りたっているのでは...
私は今日、このラヴェルが聴けて本当に幸せでした。

休憩後のバッハ・無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番
きっと誰もが1度は聴いたことのある、よく知られた曲です。
私もオリジナル楽器のCDを持っています。
ラヴェルでは「その音しかない!」
という素晴らしい音を聞かせてくれたルノーでしたが
この曲では速いパッセージを軽業のようにひきまくる間に
「う〜〜んと、私はそのピッチ好きじゃないかも」
という音がしばしば聞こえてくるのです。
これって楽器の音律のせいなのでしょうか?
そして、やはりこの曲でもヴァイオリンが煌びやかに鳴りすぎる気がしました。
バッハの時代の楽器は減衰するのが特徴ですから、
私の中でもついついそういう音を要求してしまうみたいです。すいません。

で、最後はまた兄弟デュオによるコダーイ。
コダーイは想像どおり、骨太で土の香りのする音とリズムでした。
まるで物語を語るように演奏する二人。
この曲でも精密なアンサンブルでありながら力強い音楽を奏でる二人に
ブラボー!!の嵐

2曲のアンコールも、あのコダーイのあとにまだこんな熱い演奏できるの?
というような素晴らしいテクニックと情熱に圧倒されまくり。
若いって凄いなあ!!

この兄弟、ソロも素晴らしいのですが
デュオのほうがその数十倍も素晴らしい!
彼らの長所を余すところ無く、いや、それ以上にお互いを高め合ってる気がします。
特にやはり流れている血、刻み込まれたDNAなのかラヴェルが素晴らしい!
今日の白眉はなんといってもラヴェルの「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」!
あんな色彩豊かで立体感のある演奏は絶対CDでは聴けません!
ライブならではもの。
もっとたくさんの人に聴いて欲しかったですね。

11月1日は東京、「トッパンホール」この二人のデュオ(オール・デュオ?)を聴けますから
東京周辺の方は是非、聴きに行って下さいまし!
posted by み〜 at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 演奏会評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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